アイ・マイ・上司【完全版】
魅惑、もとい。
真っ暗な中で灯る明かりへ引き寄せられるように、魅惑的な貴方に近づきたい衝動が募る。
アノ日私を引き寄せたのは貴方なのに、際限なく引き寄せるなんてズルい・・・
だけど、本当に信じてイイのかな――?
「斉藤さん・・・
また勘定科目が違う…、すぐに直してくれ」
今日もまたひとつの溜め息をつきつつ、無表情に私のミスを指摘する課長。
その無骨な顔つきは、辺りの体感温度を1度下げてしまうほどだ…。
「慌てなくて良いから」
「すっ…、すみません!」
情けなさから慌てて席を立ち、彼が携えて来た元帳を受け取ろうとすれば。
「・・・ッ」
その時、微かに触れた指先が一気に熱を持つ。
甘い、甘い…痛みにも似た鼓動とともに・・・