アイ・マイ・上司【完全版】
自分で挙げようとしても、セールスポイントが見つからない。
もしムリヤリでも、挙げるとするのなら。
良くも悪くも、“悪目立ちしない”コト…?
かたや私とは比較出来ないほど、すべてが秀でたヒト。
出世街道にまっしぐらの有能さに加え、その容姿から女性社員の人気は増す一方。
より取り見取りで、すべてを兼ね備えた課長なのに、どうして――…
「あの・・・」
ジッと見続けられるだけでは、埒が明かない。勇気を出して、もう一度尋ねようとしたのに。
「ドジな子ほど可愛いし?」
「えと…、ドジ・・・?」
質問通りの答えは返してくれたけど、拍子抜けしたのも事実で。
フッと一笑しながら、課長は同時に腕を外してくれた。
「鈴は放っておけないっていうか…、いつも目が離せないんだよな」
目を丸くしたままフリーズしていると、不意に覗き込まれてドキマギさせられて。
「そっ…、それは私が…部下だからです!」
どうしようもない鼓動の高鳴り。醒めてくれないお酒のほろ酔い加減も。
すべてを払拭したくて、頭を振って大げさに否定する。