アイ・マイ・上司【完全版】
握られた手にドキッとする間も与えられず、出口に向かおうとするから。
「か、課長・・・」
「ウルサイ」
な、なんで怒ってるの…!?
繋がれた手の力加減は、彼の怒りが伝わって来て。
その勢いを制したくても、強く一蹴されてはムリな話。
カツカツと響くヒール音もまた、店内の穏やかな雰囲気を壊すようだ…。
私の手をすっぽり覆えてしまう大きな手の温度。
この男らしさに触れながら、どうすれば鼓動は抑えられる…?
ようやくバーから出ると、そのまま課長が店のドアを閉めた。
階段を下りた地下に位置する立地のせいか、その場はもう2人きり・・・
「どうすれば信じれる…?」
「っ・・・」
ようやく離された手は、そのまま私の両肩にそれぞれ乗せられて。
ひとつ間を置く彼のせいで、鼓動だけが鳴り響く…。