アイ・マイ・上司【完全版】
ぐちゃぐちゃに入り乱れる感情に、もう耐えきれなくて。
グッと押し寄せる辛さに、堪らず視線を逸らした。
なぜかひどく悲しくて、悔しくて堪らないから。
これだと、私が失恋したみたいじゃない・・・
するとクイッと顎を引き上げられ、視線が否応なく上昇した瞬間。
「っふ、ンッ・・・」
息つく暇などナイ、激しくて貪るようなキスが降り注いだ。
「ッ、ンン・・・」
酸素を求めて微かに開口した隙間から、舌がグッと割り込んでくるから。
舌越しにウイスキーの香りを移されて、濃厚なお酒の匂いに逆上せそう。
彼のオリエンタルな香りと混ざり合い、心が沸騰していくのに…。
「っ、ゃ…ぁ――」
キスを振り切れない私は、力任せに眼前の胸をバンバンと叩いた。
長引くにつれ、彼への感情はショート寸前になるの。
勘違いな想いが、独り歩きを始めるから――…
ようやく離れていく唇を伝うように、暗がりの中でツーと引く糸。
ソレは先ほどまでのキスの激しさを物語っていた。
「っ…、っ・・・」
すっかり薄れた酸素を求めて、何度も深呼吸を繰り返す私。
キスの余韻のせいか…、移されたお酒の香りのせいか。
もう立っていられずに、しゃがみ込んでしまう。