アイ・マイ・上司【完全版】
恥ずかしくて、簡単に唇を奪われた事も悲しいのに。
立ち上がる事はおろか、地面を見つめる事しか出来ないなんて…――
すると頭に手を置かれて、同時に眼前がさらに暗さを増した。
どうやら課長も、しゃがみ込んだらしい。
「鈴…、俺の気持ちはこれで分かった?」
「っ…、でも・・・」
その優しい声色に触れたせいか、瞳からは涙がポロポロ零れ出す。
課長が私を好きなんて、あり得ない・・・
「やっぱり、上司としてしか見れない…?」
「っ――」
宥めるようにして、発せられた彼の言葉のせいで。
頬を伝う涙の意味が、ガラリと変わった気がした…。