アイ・マイ・上司【完全版】
イヤミにならないトコロが、ある意味凄い・・・
ゆっくりと上体を起こせば、変わらずクールな顔つきの課長と眼が合った。
「っ・・・」
ミスと叱責に萎れそうな私はまた、明かりが灯されてしまう。
目の前の課長が一瞬だけ緩ませた、口元のせいで――
どこまでも私を惑わせて止まない彼は、自覚アリの罪な確信犯だ・・・
「今日中に、付箋部分は全部訂正しておいて。
余裕があれば、月次業務も前倒ししてくれ」
「はい…、かしこまりました――」
端的かつ抑揚のナイ言い回しと、容赦ナイ指示の数々。
こうして自分だけ飄々と、モードを切り替えられる彼がズルく思えるの。