アイ・マイ・上司【完全版】
コドモすぎるから…、続く言葉を待ちたい――
…なんて、どれほど都合の良い言い訳だろう?
なりふり構わず想いを伝えるコトが、オトナより容易いというのに。
想いの丈を曝け出せるほど、パワーがあるというのに。
何も伝えようとせず、色々思案している私は両者に填まらない…。
どうしてこれほど、引き寄せられるのか分からない。
どうしてこんなにも、苦しんでしまうか分からない。
自分はコドモだと託けながら、仕事を理由に踏み出せない下手な分別は持っているのに。
ホントは、均衡を崩す勇気がナイだけのクセに…――
「ハァ…、根負けした」
ひとつ溜め息を吐き出して、呆れたように呟く彼。
その言葉の続きを、まだ待つ身でいるとはズルいけど。
ジッと彼の表情を見つめながら、固唾を呑んで待っていると。
「ドジなクセに、1人で頑張って無理するし。告白の返事すらして来ない…。
惚れさせる筈が、深みに嵌ったのは俺の方だ」
「っ・・・」
扇情的な瞳と言葉に射抜かれた私は、クラクラと眩暈がするほど。
紅潮していくような感覚が、全身を取り巻いていた…。