アイ・マイ・上司【完全版】


柔らかい表情が、平凡すぎる私に自信を与えてくれるから。


不安だった枷は、ちっぽけなモノに思えてしまう。


考えていた体裁も、抱えていた不安すらも、一気に消える失せるくらい。



いま考えられるのは、貴方のコトだけ・・・



彼は私のチェアをクルリと翻すと、自身もまた隣席のチェアへ腰掛けた。


足が触れるほど密着した距離に、さらに気持ちは加速していく…。



「か、ちょ・・・」


「鈴…、“課長”じゃないだろ?」


嬉しそうに口角をキュッと上げて、ジワリと追い詰めてくるけど。



「っ…、でも、会社です…」


此処でもまだ思慮している私は、相当メンドウな女かもしれない。



発した言葉とは裏腹に、仕事なんて既に放棄してるクセに。


つくづく私は、中途半端に真面目なのかな…?



「ハッ、関係ねぇよ――

あれだけ、スキスキ連発してたクセに」


「ッ・・・」


「だろ・・・?」


イタイところを見事に突いて、ニヤッと笑った彼にはお手上げ状態だ。


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