アイ・マイ・上司【完全版】
「さっ、斉藤 鈴と申します…!」
明らかにハズしたと分かるほど、ひっくり返っていた可愛らしい声色を響かせると。
「よ、宜しくお願い…いたします…」
恥ずかしそうに俯いてしまい、比例して語尾までか細くなっていく始末だ。
今にも真っ赤な顔を覆いたいのか、その子は小さいクセに身を縮こませるから。
小さな身体が余計、周りに埋もれて見えなくなる。
フッ…、まだまだ子供だ―――
小さな失態など何年も同じ光景を眺めていれば、日常茶飯であるというのに。
何故か俺は、その頼りない姿だけを注視していた…。