アイ・マイ・上司【完全版】
簿記を習った事から、何となく2級を取得していたせい?
経理部に配属されて、早1年が経過している現在。
目の前の書類の山にと新たに元帳まで加わって、デスクはもう飽和状態だ…。
「鈴、大丈夫?」
ようやく課長が自席へ着いたトキ、ポンと肩に手を置かれて。
「涼子(リョウコ)」
ソレは同期入社でいて、仲良しの涼子だった。
「ホント災難ね・・・
訂正だけで大変なのに仮締めも始めろって…。
何であの、鬼課長がモテるのかしら?」
私がデスクに置いたモノと書類の数々を一瞥したあと、苦々しい顔つきで課長を睨む彼女。
社内で課長に魅了されてイナイのはきっと、彼女だけだろう・・・
「ね、私も手伝うよ?」
視線を戻すと心配そうに尋ねてくれて、その優しさにジンと心が温まったけど。
私は笑顔を向けてから、ゆっくりと頭を振った。
「嬉しいけどミスったのは私だし、間違いをなくす為に自分でやらなきゃね…。
出来る所まで頑張るから…、ありがと涼子」
「鈴…」
未だ心配そうに見つめてくる涼子に、もう一回笑いかけた。