アイ・マイ・上司【完全版】
いつもミスばかりで仕事も上達しないし、注意散漫さにはもう嘆くしかないよね?
もしかしなくても。私は経理という職に、不向きだと思う。
こうして劣等感や無能さを嘆くのは、きっと彼に出会ってしまったから。
この気持ちが、芽生えてしまったから―――…
「ホラホラ、新人ちゃんはもっと飲んで!」
「は、はぁ・・・」
新人と他部署からの異動者の歓迎会と称した、経理部の飲み会でのコト。
断わるコトなんて出来る筈もなく、並々と注がれるお酒にウンザリだった私は。
苦手なビールと酎ハイを“ちゃんぽん”したせいか、開始早々に酔ってしまった…――
徐々にグラグラ揺れる視界と気分の悪さから、隙をみてこっそりトイレへ駆け込んだ…。
気持ちワルイ・・・
吐きたいのに吐けない苦しさに苛まれ、へたり込むようにトイレで蹲っていた。
漏れてくる居酒屋内の賑やかな声は、そんな気分の悪さを助長させるBGMでしかなく。
さらに負の感情がグルグルと渦巻かせるだけだった。
きっと、私がいなくても誰も気づかナイと…――