ケモノ微熱38℃
「助けてあげる」
さっきよりも強く、あたしに言い聞かせるように繰り返した。
どうして…、どうしてあたしなんかの為に……?
完璧なる初対面のあたしに、そんな事して何の得になるの?
「大丈夫」
「でも……」
「俺がしたいんだよ」
「なんで?」
「ん?アリスちゃんみたいな、俺の大切な人にはしてあげられなかったから」
哀しみを含んだ目を何処か遠くに向けながら言う彼に、あたしは声をかけることができなかった。