ケモノ微熱38℃
彼の奥底にある後悔に、触れてはいけないような気がした。
ううん、触れられない。
………彼の大切な人以外は。
「ありがとう」
「いいよ。俺の為、だしね?」
「うん。でも、ありがとう」
「うん」
彼は哀しみを残したまま笑みを浮かべ、あたしにそれを向けてくる。
こんなに苦しむ程大切な人が、彼にはいるんだ。
それが少し羨ましくもあった。
あたしもそんな風に強く想える大切な人ができる日は、来るのだろうか?