ケモノ微熱38℃
………優しいじゃん。
不意打ちの優しさってズルい。
そのまま扉が閉まってくれてよかったって思ったのは、あたしの顔が何故か真っ赤だったからだと思う。
いっつも意地悪ばっかり言うくせに……。
こんな時だけ優しくするなんて。
「アリスちゃん?」
「……なに?」
「送るね」
「うん」
クスリと笑った影虎の声が、余計あたしの顔を赤くさせた。
「……影虎」
「ん?」
「あたし……」
「うん?」
「緋呂の事好きっぽい…」
「うん」
自覚した途端、緋呂を愛おしく思ったあたしは変なんだろうか?