ケモノ微熱38℃


麻由子は帰りのHRになっても「会いたい」ばっかり連呼してて、面倒だから放って帰った。



「ただいまー…」



暗い家の中にあたしの声だけが響く。


その状況に、もう溜め息が出ることはなくて、仕方ないって思いだけが込み上げる。


あたしの家は所謂母子家庭。


パパはあたしが小学生の時に事故で死んじゃって、それからはママが女手一つで育てくれた。


でも、今は顔を合わせる事がなくなって、代わりに机に1ヶ月のお小遣いとして五万が置かれるようになった。


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