貴方で酔わせて。-オトナの事情-
ほの暗いバーを2人で退出するのは初めてのコトで、何だか違和感たっぷりだ…。
いつでも勝手に押しかける、私一人きりだったし。
仕事中の煌ちゃんが送ってくれた事も無かった。
だから今日は、何となくいつもの景色とは違って見えるから不思議に思える。
キュッと手を引かれながら、星の瞬く夜空の中を彼のすぐ後ろを歩いていると。
突然に煌ちゃんが立ち止まり、クルッとこちらを振り返った。
怒りを潜めた眼差しを捉えた瞬間、私の身体はグッと引き寄せられていた。
「…ったく、何で男なんか連れてくんだよ。
オマケに何抱きしめられてんの?
名前呼ばせる意味が分かんねぇ?」
「ちょ、ちょ…煌ちゃ…んっ――」
頭上から矢継ぎ早に寄せられる言葉を、処理出来ずにただ名を呼べば。
「んっ、ふ…んん…っ」
引き離されたのも束の間、開いていた口を幸いとして舌を強引に捩じ込まれる。