貴方で酔わせて。-オトナの事情-


捕まえられて絡まる舌先からは、煌ちゃんのイラつきが伝わって来るから。



彼のキスに応えようと背中に手を回し、甘く激しい時間に酔いしれていた―――…





「…だから来んなって言ったんだよ。
彼女がナンパされてんの見て、気分良い男がいるか?」


「…かわしてるもん」


あれから彼のマンションに直行した私たちは、久々に濃厚すぎる時を過ごした。



「かわして無いから今日…、いや昨日みたいな事態になんだよ!」


「そう言う煌ちゃんは、どうなのよ?」


彼の逞しい胸に寄り掛かって、色々な疑問をぶつける現在ながら。



どうしてか、いつも我慢してる私が怒られているのだ・・・




「あれは仕事だし、一切やましいコトも無い。
だから、伽耶が来ても問題ないだろ?」


「…それなら水・金しかダメな理由は?」


未だに腑に落ちないモノと不満の一番の理由は、ここにあるのかもしれない。



すると煌ちゃんはハハッと一笑に付して、チュッと私の頬へキスを落とした。




「伽耶にヤキモチ妬かせたかったから」


「・・・ッ」


綺麗な顔でニッコリ笑った煌ちゃんに、不覚にもドキリとしてしまう…。




やっぱり一般職の私は、バーテンダーな彼の真意が見えない事が多いけども。


どうやら前と変わらず、愛されてる事は確からしい――



心の見えない恋人には、たまの駆け引きも必要みたいね…?




  貴方で酔わせて。★終

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