終わらない歌を歌おう
 ~銀時~

何で俺はあんなこと言ったんだろう。

入部試験なんてする気ないのに。

でも、あいつの目を見たらマジだと分かった。

それでも一応確かめねえと。

歌目当てか、誰か目当てか。

コツンっ

「いてっ」

「何で呉羽ちゃんに入部試験なんかやらせるんですか?僕の時なかったですよ」

 振り返ると大地が怒り気味に聞いてくる。

「せーなー、試してんだよ。あいつを」

「えっ、試してる?」

「そ、今まできた女達はきゃーきゃー言ってただろ。あいつもそうか試すんだよ」

「きゃー」

部室から叫び声がする。

「ほらきた」

みんなを連れて部室をのぞき込んだ。

すると、

「これ嵐の楽譜だ~。あっ、こっちは愛の歌だ~」

何だそりゃ、そっちかよ。

無駄な動きをした。

それから暇だからみんなで飲み物を買いに行った。

そして鉱太郞の説教を食らった。

「銀時、お前なぜあの子にあんなこと言ったんだ」

「だってよ~」

「まあ、ともかくあの子にちゃんと謝るんだぞ。いいか?」

「へーへ、謝りますよ」

「おめーバカだな」

ケラケラ笑いながらこずいてくる歳夜。

なーんかイラッとする。

「るせえな歳夜。てか、おめーも女にらむだろ」

「はー?俺の場合泣かせてねえし」

二人にみっちり絞られて部室の近くまで戻ってきたら、すごくきれいな歌声が聞こえてきた。
 

部室をのぞくとあいつだった。


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