終わらない歌を歌おう
 ~宗悟~
 
 遅い・・・

 呉羽はいつも集合時間を守るのに。

 この時間にはもう来てるのに。

 おかしい・・・。

「呉羽ちゃん遅いですね」

「ああ、珍しいな」

 大地や歳さんも心配している。

 でも、本当に最近の呉羽はおかしい。

 目が合うと顔赤くしてすぐ目をそらす。

 俺、嫌われたのか?

 なんか気に障ることしたか?

 一人で沈んでいると同クラのやつが息切らして部室に入ってきた。

「どーしたんだよ」

 俺はあわてて聞いた。

「大変だ。一年のあの呉羽ちゃんが女子に殴られてるって、聞いた」

「はっ、何だよそれ。呉羽はどこだよ。教えろ!」

 いつもの冷静さを失って俺はあっせて聞いた。

 そいつはびっくりした顔してるが落ち着いて言った。

「体育館裏。急いで行け、宗悟」

「サンキュー」

 簡単だけど礼を言って俺は部室を急いでかけだした。 

 頼む呉羽、無事でいてくれ。

 ただ俺は強くそう願った。



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