終わらない歌を歌おう
 ~宗悟~
 
 急いで行ってみると俺が想像していた事と呉羽が一致している。

 白い肌は血がついていたり、あざができている。

 くそっ、こうなったのは俺の不注意のせいだ。

 俺が付いていればこんなことにはならなかったのに。

 自分が恨めしくなった。

「そう・・・ご・・・?」

 呉羽の声は震えている。

 きっと、この声はやっと絞り出した声なんだ。

 触れたい。

「呉羽!」

 そう思うと俺は呉羽に駆け寄り抱いていた。

 思いっきり女達を睨みつけ呉羽を見た。

 安心したように目を閉じている。よっかた。

 俺は威嚇するようににらみ低い声で言った。

「てめえら、俺の呉羽に何手出してんだ。ああ?この先どうなるかわかっててんな事したんだよな?」

 女達はびびっている。そこに、

「宗悟」

 銀さん達がきた。

「呉羽ちゃんは?」

 大地が慌てて聞く。

「ここだ」

 俺は静かに答えた。

「呉羽!」

 みんなが駆け寄る。

 銀さんはすっげぇ恐ろしい顔している。

 そして、俺でもあまり聞かない恐ろしい、低い声で言う。

「てめえら今後一切呉羽に、軽音部に関わるな。いいな?どうなるかわかってるだろ?」

 女達は完璧に怖がっている。

 でもこんなの呉羽に比べたらあまいもんだ。

「失せろ」

 銀さんにびびりすぐに女達は逃げて行った。

「無事か?」

 鉱さんが顔をしかめて聞く。

「はい」

 少しほっとした。

「帰るぞ」

 銀さんの一言でみんな部室に帰った。


 




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