終わらない歌を歌おう
「ごめんなさい。ほんとはどこも痛かったりしないんです。でもあたしの事を心配してくれる優しい人達に心配かけたくなくてここへ逃げてきたんです」

「あら、そうだったの。・・・もしかしてその傷と関係しているの?」

 先生は申し訳なさそうに少し顔をしかめて聞いてきた。

「ごめんなさいね。少しでも矢戸さんの気持ちが軽くなればと思って。 
  言いたくなかったら言わなくていいのよ・・・?」

 あたしの事を考えてくれて、優しい人だな。

 この人ならあたし、自分をさらけ出せると思う。

 あたしは麦茶に手を伸ばしゴクゴクと飲むと先生に思いっきり笑った。

「先生大丈夫だよ!よかったら聞いてもらえますか?
  あと、あたしの事は呉羽って呼んで下さい!」

 少し曇っていた先生の顔に笑顔が戻った。
 
「じゃあ、聞かせてちょうだい。呉羽ちゃん」

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