終わらない歌を歌おう
「先生はみんなと仲がいいんですか?」

「そうね、みんなとおしゃべりするけど銀時君と歳君と宗吾君はここによく来るわ」

「そーなんですか。三人とも体が弱いんですか?」

「ぶっ」

 質問すると先生は飲みかけていた麦茶を吹き出しそうになった。 

 あれ、あたし変なこと聞いたかな?

「あはは、呉羽ちゃん面白い事いうわね。違うわよ。三人は‘サボり‘に来るのよ」

「サボり?」

 それってあのヤンキーさん達がするあの?

「銀時君は『だるい』とか言ってここに来て、歳君は『わかることを聞いて何の為になる』と
か言っておしゃべりしに来るの。宗吾君は『眠い』の一言だけ言ってベッドに直行するの。みんな頻繁に来るのになぜかダブらないのよね~」

あははと笑いながら話す先生。

 あの先生?保健室は体調を崩した人とかが来るんじゃないの?

 サボるためにこさせちゃだめだよ・・・・

 は!

 よく考えたらあたしもサボりに来たんじゃん・・・。

 人の事言えなかった・・・・・。

「先生ごめんなさい・・・・。あたしもサボりです」
 あらあら、いいのよ。むしろいつでも来てって感じよ。あなたは一人で頑張りすぎているわ。たまには息抜きが必要よ。じゃなきゃ壊れちゃう。だから、その息抜きできる所がここだったら私は嬉しいわ」

 先生は優しい笑顔をあたしに向けてくれる。 

 それだけで肩の荷が軽くなる。

 自然と顔がほころぶ。

「先生ありがと」

「うふふ、呉羽ちゃんこっちおいで」

 先生に腕を引かれ態勢が崩れてあたしは先生の膝の上に座っていた。

「わあ、ごめんなさい!すぐどきますから」

 あわてて降りようとしたらギュッと抱きしめられた。

「いいのよ呉羽ちゃん。ここではなんの気もいらない。もう少し肩の力抜きなさい」

 そう言って先生は小さい子をなだめるようにぽんぽんと背中をたたいてくれる。
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