終わらない歌を歌おう
 ああ、懐かしい。
 
 小さい頃パパがよくしてくれたことだ。

 いっつも膝の間に入れてくれて髪いじったり、頬をつまんだり引っ張ったりしてあたしもや
り返してたな・・・。

 たまにママも一緒にやってたな。

 でも、パパはどこでもするから恥ずかしかったな。

 バンドのみんなの前でも自慢するように見せつけて。

 そんなみんなもあたしを捕まえて膝に入れて取り合いしてたな。

 パパもそん時は必死であたしを触れさせないようにガードしてたな。

 ・・・今更思い出してもダメなのに。

 ずっと我慢して封印してたのに・・・。

 パパとママを思い出しちゃう・・・。

 それと同時に不安が芽生えてくる。

 今そばにいてくれているみんながあたしのせいで壊れると思ってしまう。

 パパとママの様に・・・

 そう思うと怖い。

「うぅ・・・ぜんぜい・・・・」

 ついに耐え切れなくて涙が出てくる。

 先生に強く抱き着いた。

「いいのよ、今までの分全部出し切るぐらいいっぱい泣きなさい。我慢なんていらないの」

「・・・うぅー・・・怖いよ、みんなが離れていっちゃうって・・考えちゃって。・・・・一人にしないで・・・」

 ともかくあたしは泣いた。

 今まで我慢したのをすべて出し切ったように。

 先生はそんなあたしをずっと何も言わず慰めてくれた。
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