終わらない歌を歌おう
「ばあちゃん、もういいよ・・・

 これからのことはゆっくり、

 呉羽と向き合って聞いていくから。

  だから安心して。

 こんな言葉じゃ信用してもらえないのは

 わかってる、でも俺が呉羽を守るから。

 どんなことがあってもあいつを守り抜くよ

 ・・・悲しみも苦しみも呉羽から取り除く。

 だから俺はあいつが話してくれるまで待つよ」

「宗吾・・・そうだな。

 ばーちゃん、呉羽には俺達がついている。

 だから大丈夫だ」

 銀さんが俺の肩に腕を乗せて言う。

 いつものだるそうな声と違う。

 とても優しい声だった。

 それほど銀さんも呉羽の事を考えているんだって思った。

「あんた達・・・ありがとう・・・」

 大粒の涙をぼろぼろと流しながら何度も何度も少しかすれた声で“ありとう”と言う。

 呉羽が愛されていることがよくわかった気がした。

「おまたせ~!ってあら?何事?」

 タイミングよく戻ってきた呉羽は状況がわからなくて少し驚いている。

「ん~、なんでもねえ」

 すかさず歳夜さんがフォローしてくれる。

「あ~あたしだけのけ者にしようということか!ひどっ」

「ちげーよ」 

 もう関係なくじゃれる呉羽は少し単純だと思っちまう・・・
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