SingerAndroid
少女がすくっと立ち上がった。
そして、今まで固く閉じていた瞳をすぅっと開けた。
素晴らしく深い、それでいて邪悪さなど破片(カケラ)もない真っ黒な眼球(メ)。
まるで初雪のような白さの肌。
瞳と同じく清楚でまっすぐな黒髪。
紺のセーラー服がひらひらとたなびく。
人間のようだが、確実にそれではないモノ。
「・・・シアロ?」
僕の脳に、その単語が浮かんだ。
少女はゆっくりと僕の方を向いて、唇を動かした。
「・・・シ・・・・・・アロ・・・?」
喋った!?
僕はすぐさま少女の方に身体を動かした。
「キミはシアロなんだね!?」
少女は首を傾ける。
「ワタシは・・・ウ・・・・・・ィ」
「うい?」
「そう」
少女は抑揚のない喋り方で同意した。
「ワタシは『うい』っていう。」