【短編】クロスロード
~ェンジェル~アルバム~
第十五章 真梨子の嫁入り
春が過ぎ…
ぽつりぽつりと六月の雫が見える頃
真梨子お姉ちゃんの結婚が決まった。
澄香は、
今も思い出す。
少し前の
ある日――――…
「あぁいいなぁ~
私もあんなウレディングドレス着たいなぁ」
テレビに映る花嫁をみながら真梨子は言う。
「あら真梨子。
なら、相手を見つけなきゃ」
「う゛ー…
お母さん…、
それは難しいわ…」
「どうして」
「だってぇ…
富士崎姓の男性が、
なかなかいないんだもんっ」
「えぇ?それはそうでしょうよ。
…?
どうして同じ姓を探すの」
「だってぇ、
名字変わりたくないんだもの…」
「どうして」
「……
私、一人娘だから、
私が嫁いだら、
お父さんやお母さんと名字違っちゃうし…」
「え?」
「とにかく!
私は、富士崎がいいの!」
そう言っていた、
真梨子お姉ちゃんの膨れ面を。
…―――――
それから数日後、
真梨子お姉ちゃんは、
彼氏を連れてきた。
彼氏の名は、淳一さん。
姓は、 立花さん。
一人娘の真梨子お姉ちゃんは、
父と母、そして、
自分という家族の存在の証に
少しでも長く
『富士崎』の名をこの名をこの世に存在させたくて、
夫婦別姓という形を
取ることを決めた。
真梨子お姉ちゃんは、
富士崎のままに
六月の大安
珍しい晴天の空の下
真梨子お姉ちゃんは、
純白で
とても綺麗な六月の花嫁になって、
お母さんの見守る中、
澄香の花束を受け、
淳一さんのもとへと
嫁いでいった。
綺麗な花が、
大輪に
眩しく光る…
ぽつりぽつりと六月の雫が見える頃
真梨子お姉ちゃんの結婚が決まった。
澄香は、
今も思い出す。
少し前の
ある日――――…
「あぁいいなぁ~
私もあんなウレディングドレス着たいなぁ」
テレビに映る花嫁をみながら真梨子は言う。
「あら真梨子。
なら、相手を見つけなきゃ」
「う゛ー…
お母さん…、
それは難しいわ…」
「どうして」
「だってぇ…
富士崎姓の男性が、
なかなかいないんだもんっ」
「えぇ?それはそうでしょうよ。
…?
どうして同じ姓を探すの」
「だってぇ、
名字変わりたくないんだもの…」
「どうして」
「……
私、一人娘だから、
私が嫁いだら、
お父さんやお母さんと名字違っちゃうし…」
「え?」
「とにかく!
私は、富士崎がいいの!」
そう言っていた、
真梨子お姉ちゃんの膨れ面を。
…―――――
それから数日後、
真梨子お姉ちゃんは、
彼氏を連れてきた。
彼氏の名は、淳一さん。
姓は、 立花さん。
一人娘の真梨子お姉ちゃんは、
父と母、そして、
自分という家族の存在の証に
少しでも長く
『富士崎』の名をこの名をこの世に存在させたくて、
夫婦別姓という形を
取ることを決めた。
真梨子お姉ちゃんは、
富士崎のままに
六月の大安
珍しい晴天の空の下
真梨子お姉ちゃんは、
純白で
とても綺麗な六月の花嫁になって、
お母さんの見守る中、
澄香の花束を受け、
淳一さんのもとへと
嫁いでいった。
綺麗な花が、
大輪に
眩しく光る…