【短編】クロスロード ~ェンジェル~アルバム~
「うん。

でも、どうして?」

「ん?」

「真梨子お姉ちゃん、
凄く不安がるの?」

「あ、……あぁ」

「あのね。

聞こう聞こうって思ってて…

真梨子お姉ちゃん、
どうかしたの?
何だか、様子が前と違う時あるでしょ?

前に聞いたとき、
何でもないって笑ってて…でも、その後、
何かは知らないけど薬の袋見つけて。

その時も、お姉ちゃん、何でもないって言った。

でも、

変…
お姉ちゃん、吐いてたもんっ。

言えないの?

私、家族なのに、
言ってくれないの?

なんで…」

澄香の心が、
沈む…


澄香の気持ちを聞いた淳一は、
じっと澄香を見つめて、
そして、

静かに言った。


「真梨子……鬱病なんだ…」


「えっ…」


澄香は、
躊躇いがちに淳一を見た。

「澄香ちゃんに気づかれるのは恥ずかしいって…言ってた…

真梨子、明るいヤツだったろう。
だから、余計に…
自分でもショックだったみたい…」

「…いつから?」

「お母さんが亡くなってから」

「そう…だったの…」

真梨子が洗面室に駆け込んだ時の場面が、
鮮明に思い出される。

「お母さんの…

突然だったから…
ショックは物凄いものだったんだね…」

「真梨子、一人娘で生まれて、お父さんとお母さんに甘えん坊で…
でも…お父さんが亡くなって、
お母さんも亡くなって…

真梨子は一人ぽっちになっちゃった、って、
一人で大泣きしたんだ。

それから少し経った頃、

最初は、
食べてもすぐに戻してしまう…そんな状態…
でも、それは時々のことだった。

それから、段々酷くなって………心が…」

「お姉ちゃん…ごめん…」

澄香はうつむいた。

「澄香ちゃん、
君が謝ることはない」

「何にもしてあげてない…
…お姉ちゃん…
苦しんでたなんて…」

「大丈夫っ

真梨子は大丈夫だから」

そう言いながら、
徐に立ち上がった淳一は、
不意によろけて倒れそうになった。
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