【短編】クロスロード
~ェンジェル~アルバム~
学校に着き、
仂哉は帰っていった。
澄香は、
買った花瓶を手に
理科室に向かう。
― なんで作り話なんか…
あ!
仂哉さん、なんで学校に?
…買ったはいいけど、
今思えば、こんな花瓶だったっけなぁ… ―
澄香は、足取り重く
理科室へと歩いた。
「あっ、富士崎さんっ」
「え?、はいっ」
振り返ると、
保健室の先生が立っていた。
「あ、加奈子先生っ」
「名字で呼びなさいっ名字でっ」
「はぁぃ。
花木先生っ」
「まったく。
吉岡先生が探してたわよ」
「あ!ヤバィっ
忘れてた!」
「何、数学赤点だったの?」
「はいぃー…」
澄香は小さく返事する。
「珍しいわね。
理数系、得意なあなたが」
「先生、」
「ん?」
「具合悪くて、保健室にいたことにしてくれないかな…。
で、良くならないから
今日は帰らせたって…」
「えぇ?」
「お願い!」
澄香は、手を合わせてお願いする。
脇に花瓶の包みをはさんで。
「ん?
なぁにそれ」
「あ…
これはぁ…」
加奈子はニヤリとする。
「なぁに?」
「………すみません。
理科室の花瓶を割ってしまって…」
「あらら」
加奈子は、苦笑い気味に微笑んだ。
「一刻も早く帰りたいわけねぇ」
「はぃ…」
「同じ花瓶を買ってきたの?」
「似てそうなものを、とりあえず」
澄香は、
包みを開けて加奈子に見せた。
「そう。
気を付けなさいよ。
学校の備品なんだから」
「はい…すみません」
「暗くなるといけないから早く帰りなさい。
これは私が、そっと置いておくから」
「え、
有難うございますっ加奈子先生っ、あっ、
花木先生っ」
「はいはい」
「では、先生っ失礼しますっ」
「貸しねっ」
「え、…はい…」
「冗談よ。
気を付けて帰りなさいよ」
「はいっ
先生さようなら」
「はい、さようなら」
澄香は、
速やかに学校を後にした。
仂哉は帰っていった。
澄香は、
買った花瓶を手に
理科室に向かう。
― なんで作り話なんか…
あ!
仂哉さん、なんで学校に?
…買ったはいいけど、
今思えば、こんな花瓶だったっけなぁ… ―
澄香は、足取り重く
理科室へと歩いた。
「あっ、富士崎さんっ」
「え?、はいっ」
振り返ると、
保健室の先生が立っていた。
「あ、加奈子先生っ」
「名字で呼びなさいっ名字でっ」
「はぁぃ。
花木先生っ」
「まったく。
吉岡先生が探してたわよ」
「あ!ヤバィっ
忘れてた!」
「何、数学赤点だったの?」
「はいぃー…」
澄香は小さく返事する。
「珍しいわね。
理数系、得意なあなたが」
「先生、」
「ん?」
「具合悪くて、保健室にいたことにしてくれないかな…。
で、良くならないから
今日は帰らせたって…」
「えぇ?」
「お願い!」
澄香は、手を合わせてお願いする。
脇に花瓶の包みをはさんで。
「ん?
なぁにそれ」
「あ…
これはぁ…」
加奈子はニヤリとする。
「なぁに?」
「………すみません。
理科室の花瓶を割ってしまって…」
「あらら」
加奈子は、苦笑い気味に微笑んだ。
「一刻も早く帰りたいわけねぇ」
「はぃ…」
「同じ花瓶を買ってきたの?」
「似てそうなものを、とりあえず」
澄香は、
包みを開けて加奈子に見せた。
「そう。
気を付けなさいよ。
学校の備品なんだから」
「はい…すみません」
「暗くなるといけないから早く帰りなさい。
これは私が、そっと置いておくから」
「え、
有難うございますっ加奈子先生っ、あっ、
花木先生っ」
「はいはい」
「では、先生っ失礼しますっ」
「貸しねっ」
「え、…はい…」
「冗談よ。
気を付けて帰りなさいよ」
「はいっ
先生さようなら」
「はい、さようなら」
澄香は、
速やかに学校を後にした。