すき?
「…はは、なるほどな」
俺が見たのはスーツ姿の男と笑顔の有海。
そして車に乗り込む姿だった
全てを察するのに時間はかからなかった
他の女と一緒にいても
一緒に帰らなくても
連絡をいっさい取らなくても
何も言ってこない…それは当たり前じゃないか
だって彼氏は別に居たんだ
そういえば俺…一回も『すき』なんて
言われたこと無かったっけ…?
考えれば考えるほど虚しくなって
軽かった足取りも嘘のように重たくなっていた