すき?


「有海」

「ん?」

「有海」

「なぁに?」



名前を呼ぶたびに甘くなっていく声


もっと声を聞かせて
もっと顔を見せて
有海の事もっと知りたい


小さな有海の顔を両手で包むと
それに答えるように手を添えてきて
真っ赤になった目を細めて笑うから
つい抱き締めてしまう



「泣かしてゴメン。有海だいすき」


やっと言えた。


有海は何も言わなかったけど
俺の言葉に応えるように抱き締める手が強くなった


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