迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
「先生がさ、本棚の本を移動させたいらしいんだ。
けっこう時間かかりそうなんだけど……」
申し訳なさそうな先輩。
なんだ、それか……
「手伝ってもらえたり…する?」
がっかりしつつも、
まるでおねだりするかのような先輩の瞳に……
「い…いえ、全然大丈夫ですっ」
思わず頷いてしまった。
「そう?じゃあ、悪いけどよろしくね?」
微笑むと、先輩は返却された本を抱えて書庫に消えていった。
うわぁ……
私、変だよ。
すごく変。
普段はこんなんじゃないのに。
私らしくない。
水沢先輩といると、明らかにいつもの私じゃなくなる。
これはやっぱり、恋なのかなぁ?
先輩の消えた方向をぼんやり眺めていると……
「窓花ちゃんさぁ、」
ふいに、悟先輩に話しかけられた。