迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*




「今日は、水沢先輩は来ないんですか?」



つい聞いてしまった。


今は放課後。


いつもなら、とっくに来ている時間だ。


あ、部活とか?


ん?でも、今日はどの部活もお休み…じゃなかったっけ?


だから、悟先輩もこうして最初からいるわけだし。


悟先輩は、第一印象通り、バリバリのスポーツマンだった。


これでも、陸上部のエースらしい。


水沢先輩は……



「あー…アイツは……」



私の質問に、なぜか言葉をつまらせる悟先輩。


ちらっと私を見てから、言いにくそうに続けた。



「今日は、約束があるって帰った」



「約束?」



「そう。たぶんデート」



え?それって……



「彼女と」



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