迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
いるんじゃないかな、とは思っていた。
いや、絶対いるだろう、って。
だって、あんなに素敵なんだもん。
周りが放っておかないよ。
でも、女の子といるところなんて見たことなかったから。
“彼女”の噂も入ってこなかったし……
そもそも、先輩は図書室に入り浸りなわけだから、
そういう人がいたら、会いに来るはずだよね?
私だったら、毎日来る!
だから……
ちょっとだけ期待しちゃってたよ……
「アイツさ、あれでめちゃくちゃ一途だから。
中学のときからずっと彼女一筋なんだよね」
悟先輩の言葉に胸が痛む。
「どんなにモテても他の子には見向きもしないから。
ま、そもそもあれだけモテるようになったのだって、彼女のために必死に努力したからなんだけどね」