迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
「え……?」
努力?先輩が?
「彼女っていうのがさ、もうすごい人でさ。みんなの憧れの的っていうか…“高嶺の花”ってやつ?」
興奮気味に続ける先輩。
「ものっすごい綺麗な人なんだよ、これが」
水沢先輩の“彼女”だもん。
素敵な人に決まってるよね……
「アイツは、ずっと片想いしてたから……彼女に釣り合うようになるんだ、って相当頑張ってたんだよ。
つき合う前も、つき合い始めてからも。」
やさしく、目を細めて呟く悟先輩。
「努力の甲斐あって、
今じゃ、人も羨むくらいの“お似合いのカップル”だからね。
俺もひそかに憧れてるんだ。」
にっこり笑う悟先輩に、
私は何も言葉を返せなかった。