迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
ここにいるのは、私たちだけ。
来るときだって誰にも会わなかったし、下駄箱だって閑散としていた。
テストが近いせいか、部活も休みのところが多い。
授業が終われば、生徒たちはまっすぐ家に帰るらしい。
さすが進学校。
そう。
だから……誰も来ない。
私は、無意識のうちに手を伸ばしていた。
なんでだろう?
なんか、無性に触れたくなってしまったんだ。
まるで見えない力に吸い寄せられるように、そっと近づいていく。
「ん……?」