迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
「空いたから、どうぞ」
食事も終えて、
後片付けもすんで……
ぼんやりテレビを眺めていると、一足早くお風呂をすませた航くんが現れた。
思わず、まじまじと見つめてしまう。
茉奈の言葉を思い出したから……
濡れた髪の毛から落ちる雫とか、
それを無造作にタオルで拭う仕草とか……
タンクトップから出た、細いのにほどよく筋肉がついた腕とか……
その格好のまま、ペットボトルを口にする姿まで、
いちいち艶っぽいっていうか……確かに“色気”ってやつなのかも。
見たら、思わずドキッとしてしまう。
そんな感じ。
「何?」
私の視線に気づいたらしく、怪訝そうに見られてしまった。
「な…何でもない」
平然を装いつつも、
あり得ないくらいにドキドキしていた。
変なこと、思い出さなきゃよかった……