迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
“年下とは思えない”
茉奈の言葉を思い出す。
……確かに。
私にこんなにも安心感を与えてくれる航くんは、
たぶん、同い年の男の子たちよりも数段大人びていると思う。
時々“年下”だってことを忘れそうになるし。
まぁ、たった1歳だけだし。
元々“年上”だとか“年下”だとか特にこだわりはないから気にしてないし。
何より、私たちの場合は……
「これは、詐欺だと思う」
事あるごとに、航くんが漏らす不満。
「なんで、誕生日は3日しか違わないのに学年が1つ変わるわけ?」
どうしても納得がいかない、と訴えかける眼差し。
「おかしくない?
だって、4月生まれと3月生まれは同級生なんだよ?
まる1年くらい違うのに」
私に言われても…と思いつつも仕方なく頷けば、
「なのに、3月生まれのみさきさんと4月生まれの俺は、なんで違う学年なの?」
……そう。
私の誕生日は3月30日。
航くんの誕生日は4月2日。
ほぼ同い年みたいなものなんだ。