迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*

孤独の住処





――そして、夏休みになった。



朝からうるさいセミの声。


じりじり照りつける太陽。


天気予報によれば、
「全国的に真夏日になるでしょう」…って、昨日もだよね。


朝からうんざりだ……



ため息をつきつつ、
リビングの“私の”席に腰をおろした。


テーブルにはきちんと朝食が用意されていたけど、

食欲なんてあるはずもなく、カップにオレンジジュースを注いでちびちび飲み始めた。


そんな時。


慌ただしく階段を駆け下りる音がして、バタンと開いたリビングのドア。


思わず振り返ると……



「うわーっ、遅刻しちゃう!」



飛び込んできた女の子。



「あれっ?みーちゃんも学校なの?」



私に気づいて驚きつつも、ひとなつっこく笑った。




< 26 / 243 >

この作品をシェア

pagetop