迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
孤独の住処
――そして、夏休みになった。
朝からうるさいセミの声。
じりじり照りつける太陽。
天気予報によれば、
「全国的に真夏日になるでしょう」…って、昨日もだよね。
朝からうんざりだ……
ため息をつきつつ、
リビングの“私の”席に腰をおろした。
テーブルにはきちんと朝食が用意されていたけど、
食欲なんてあるはずもなく、カップにオレンジジュースを注いでちびちび飲み始めた。
そんな時。
慌ただしく階段を駆け下りる音がして、バタンと開いたリビングのドア。
思わず振り返ると……
「うわーっ、遅刻しちゃう!」
飛び込んできた女の子。
「あれっ?みーちゃんも学校なの?」
私に気づいて驚きつつも、ひとなつっこく笑った。