迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*




「また、寝てたの?」



顔を合わせるなり、
呆れたように笑われてしまった。


なんで、わかるの?



「寝てないよ」



平静を装いつつ、ぶっきらぼうに答えると、



「跡…ついてるし。」



笑いながら、私の頬に触れる大きな掌。



「……っ」



思わず、振り払ってしまった。


そして、慌てて目をそらす。


絶対に顔が赤くなっているはずだから。


そんな私の様子なんてお構い無しに、

ついでに言えば、

痛いくらいの周囲の視線などものともせずに、



「ホント、寝てばっかりだよね」



ため息と共に再び私に手を伸ばして、



「ここ、すっごい目立つけど?」



おそらく何かがついてあるのであろう、頬のあたりを指でなぞった。



< 4 / 243 >

この作品をシェア

pagetop