迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
すぐにでも鏡を見たい…そんな衝動に駆られたけど、そんな場合じゃない。
教室内に起こったどよめき。
さらに集まる視線。
……早く、出ていってもらわないと。
「で、用って何?」
もう一度、その手を慌てて振り払って本題に入る。
……私って、素っ気なさすぎ?
仕方ないんだよ?
ここで立ち話、なんて
あまりにも目立ちすぎるから。
ただでさえ人目を引くっていうのに……
あんまり見られたくないし、
見せたくない…んだもん。
「ああ、そうそう」
そんな私の想いになんて気がつくはずもなく…
彼はあくまでマイペース。
……これだもんなぁ。
「俺、今日も部活だから…「待ってる」
言い終わらないうちに返事をした私に一瞬驚きつつも、
「わかった。終わったら迎えに行くから。」
そう言ってにっこり微笑んで私の頭をくしゃっとやってから、
「じゃあね」
さっさと教室を後にした。
はぁーっ…。