迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
「へっ?」
「なんていう“偶然”かしらねぇ?しかも、私はこれから職員会議と来たもんだ」
皮肉混じりに言うと、資料を抱えて立ち上がって。
「昼寝は許すけど、ここでいかがわしいことはしないでちょうだいね?私の神聖な職場ですから」
俺をぎろっと睨んでから、ドアに向かった。
部屋を出ていく直前、
「破ったら、出入り禁止にするからね」
鋭い一撃を忘れなかったところがすごい。
あっぱれだ。
その姿を見送ってから、俺は室内に目を向けた。
ベットは4つ。
カーテンが閉まっているのはひとつだけ。
窓側の、彼女お気に入りの場所。
眠気なんてどこへやら。
俺は、迷わずそこへ足を進めた。
そっとカーテンをめくって、中を覗くと……
「瞬間移動?」
案の定、彼女はそこでぐっすり眠っていた。