迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*




驚く俺に、ますます顔を赤くするみさきさん。



「じゃあ、俺が最初?」



もう限界だったらしく、みさきさんは俺に背を向けてしまった。



えぇ――――っ?



じゃあ……



「それ、違うよ」


「え?」



俺の言葉に、びっくりして振り返るみさきさん。



「だって、俺はそのときじゃないもん」


「……?」


「それより前だもん。中2の…春だもん」



……あーあ、自分から言っちゃったよ。



「何言って…航くんはそうかもしれないけど、私は違うもん」



みさきさんはわかっていないみたいだけど。


じゃあ、黙っておこう。



「航くんは…キスなんて慣れてたかもしれないけど、私は……」



口ごもるみさきさん。



じゃあやっぱり、
あいつとは、本当に何もなかったんだ……


なんか、それだけがわかっただけですごく嬉しい。



「知ってて言わせるなんて、ひどいよ……」



< 78 / 243 >

この作品をシェア

pagetop