迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
驚く俺に、ますます顔を赤くするみさきさん。
「じゃあ、俺が最初?」
もう限界だったらしく、みさきさんは俺に背を向けてしまった。
えぇ――――っ?
じゃあ……
「それ、違うよ」
「え?」
俺の言葉に、びっくりして振り返るみさきさん。
「だって、俺はそのときじゃないもん」
「……?」
「それより前だもん。中2の…春だもん」
……あーあ、自分から言っちゃったよ。
「何言って…航くんはそうかもしれないけど、私は違うもん」
みさきさんはわかっていないみたいだけど。
じゃあ、黙っておこう。
「航くんは…キスなんて慣れてたかもしれないけど、私は……」
口ごもるみさきさん。
じゃあやっぱり、
あいつとは、本当に何もなかったんだ……
なんか、それだけがわかっただけですごく嬉しい。
「知ってて言わせるなんて、ひどいよ……」