迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
「あ…」
まるで、私たちを引き裂くかのように、みさきちゃんのケイタイが鳴る。
「ごめんね……」
そう言って、慌てて確認するみさきちゃん。
ディスプレイ画面を見て、
ほんの一瞬だけど、みさきちゃんの顔がほころんだ。
……彼氏、だな。
「まどか、ごめんね。
私、これから出掛けないといけなくて……」
どうやらメールだったらしい。
申し訳なさそうなみさきちゃんに、
「ううん。デートでしょ?早く行ったほうがいいよ」
笑顔を向ける私。
きっと、今夜は帰ってこないだろうなぁ……
ぼんやり考える。
今日は、ママもお父さんも早く帰ってきてくれて、
みんなでお祝いする予定だったのにな。
ちょっとがっかりだ。