おばあちゃんの思い出
明日の光③
お葬式が終わってしばらくは、
秋田でのんびりと過ごしていた。
近所の畑の手伝いをしたり
晴れた日には車で少し遠くの湖までドライブしたり
そしてもう二度と使われることのない食堂を
念入りに掃除した。
お客さんが座る椅子とテーブル
流し台や古いガスコンロ
メニューの書かれた札たち
最後に、看板をはずした。
看板がないだけでなんだか見慣れたはずの家が
いつもとは違って見えた。
「カホちゃんがおばあちゃんのお店を継げばいいのに」
近所の人にはよくそういわれた。
でもね、やっぱり私じゃだめなんだよ。
おばあちゃんが作るご飯は
おばあちゃんにしか作れない。
焼き魚定食も
きりたんぽのおなべも
あずきゆべしだって
どの料理も世界でひとつだけ
おばあちゃんだけが作れる味だった。
おばあちゃんがいなくなった今
きっとあの味には
もう二度と出会えない。
看板を外しながら
おばあちゃんの味に
おばあちゃんのお店に
私は「さよなら」を言った。
秋田でのんびりと過ごしていた。
近所の畑の手伝いをしたり
晴れた日には車で少し遠くの湖までドライブしたり
そしてもう二度と使われることのない食堂を
念入りに掃除した。
お客さんが座る椅子とテーブル
流し台や古いガスコンロ
メニューの書かれた札たち
最後に、看板をはずした。
看板がないだけでなんだか見慣れたはずの家が
いつもとは違って見えた。
「カホちゃんがおばあちゃんのお店を継げばいいのに」
近所の人にはよくそういわれた。
でもね、やっぱり私じゃだめなんだよ。
おばあちゃんが作るご飯は
おばあちゃんにしか作れない。
焼き魚定食も
きりたんぽのおなべも
あずきゆべしだって
どの料理も世界でひとつだけ
おばあちゃんだけが作れる味だった。
おばあちゃんがいなくなった今
きっとあの味には
もう二度と出会えない。
看板を外しながら
おばあちゃんの味に
おばあちゃんのお店に
私は「さよなら」を言った。