空は青色、君は君色
笑えない
いつもどおり
屋上に行った
でも、あいつの姿は無かった
あいつのいない屋上は
ほんとうに
なんにもない
ただのコンクリート
いつも海は
この冷たいところに
寝転がって
何を思って
何を見てるんだろう
そう考えれば
考えるほど
あいつのことを知りたいと思った。
予鈴が鳴る。
今日の雲はどんよりと
真っ青な空を
灰色で覆う。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
教室に行くと、築が
駆け寄ってきた
「山口!!今日吉田さん休みなんだって。」
「へえ。」
何かあったんかな・・・
あいつが学校を休んだのは
初めてだ
って、
「なんで俺に言うわけ」
築がにやにやしながら
俺の耳元で
囁いた
「最近ずっと、吉田さんといるでしょ」
「え?」
「屋上で。」
やっべ、これがばれたら
海の居場所がなくなる
「まあ、誰にも言ってないけど。」
「良かった。」
本当に安心した。
もし、海の居場所がなくなったら
あいつはまた
笑わなくなる
まあ、笑うっていっても
片方の唇を上げるぐらいだけど
「そのかわり、お願いがあるんだけど」
「んだよ。」
築は、真剣な表情で言った。
「吉田さんは、俺に頂戴。」
え?
「いいでしょ?また、山口の得意の遊びなんでしょ?」
「い、いや・・・。」
「遊びならやめてよ。
吉田さんを傷つけることすんな。」
築が、睨むように俺を見る。
海のことをきーがこんなに
好きだったなんて知らなかった。
でも、いつもみたいに
応援する気になれなかった。