空は青色、君は君色


次の日も、また次の日も

海が学校に来ることは無かった。


アドレスか、携番聞いとけば良かったと
今頃後悔する。

「おい!!山口!!」

担任が教室のドアから俺を呼んだ。

きーが

「山口、ヤンキーじゃん」

と、叫ぶと、クラスのやつが
口々に俺を冷やかす。

「うっせー。」


担任は両手に
茶封筒と、紙袋を持っていた

雑用は勘弁


「山口に、頼み事があるんだ」


「雑用ならしません」

「お前に雑用なんか頼まん」

「ああ、そうっすか」



だったらなん用事だ


「あんな、C組の吉田が最近病欠で
学校に来てなくてな。
家の近い奴がお前ぐらいなんだ。
もうすぐテストもあるし
プリント類を
持っていってやってくれんかな」


初めて知った。

あいつの家が俺の家の近所だったとか


「はあ、わかりました」

「そうかそうか!!
これ、荷物な。
で、これが地図だ。
よろしく頼んだぞ〜。」


ったく、人使い荒いなあ。


地図を見たら、

「え、めちゃ近い・・・・。」


そういえば、吉田っていう
家、あった気がする

気がするだけだけど




「山口、なんだった?」


そうか、きーが行けば
いい感じじゃん


「あー、いやなんでもねえ」


でも、隠してる自分がいた


なんでか
わからないけど
口から出た言葉は
俺の思っている言葉じゃなかった。


「んだよ、呼び出しだったら
面白かったのに。」


「人を面白いとか言うな。」



「おい、山口。どこ行くん?」


気づいたら俺の足は
もう、教室を出ていた。


「ああ、用事あるんだ。」


「やっぱ呼び出されてるんだぜ」


クラスのやつの笑い声がもう
遠くに聞こえる


俺は今、あいつに会いたかった
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