空は青色、君は君色
屋上
「吉田ってさ、ずっと空見てんだな。」
突然現れたのは、C組の山口だった。
「なあ、空って何色?」
二人の上に青々とした空が
漠然と広がっていた。
風が二人の間を吹きすぎる。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
それ以来、せっかく1人でいれた屋上に
邪魔者が来るようになった。
「吉田、お弁当は?」
「食べた。」
「はーえー。」
ごろんと仰向けになる。
雲が青い空の中で流れていく。
「お前何でここにいんの?
教室に友達いるだろ。つか、結構前から
屋上通ってんだろ。」
よく喋る奴。と思って
でも、目線はひたすら上を向いている。
風が吹いて、2人の髪の毛を揺らす。
「なあ、空見てて楽しい?」
半分馬鹿にしたような言い方。
楽しい訳じゃない。
ただ、空は安心をくれる。
雨が降ろうと、雪が降ろうと、雷が鳴ろうと、
空はずっとそこにいてくれる。
裏切ったりしない。
人間とは違って、
男とは違って、
絶対に。
「なあ、聞いてんの?」
しつこい男を無視して
静かに、屋上から出た。