空は青色、君は君色



逃げた
私は必死に逃げた


震える足を無理やり動かした


でも
すぐに追い付かれるのなんか
わかってた


私の腕は痛いぐらい強く掴まれる


「逃げんなよ!」


また怒鳴り声

「ごめん、だいぶ言い過ぎた」

私が悪いの


「そんなすぐ笑えねえよな」


困ったように言う空


「違うの、笑えるの
だけど笑えないの」

自分が何言ってるかわかんない


「ずっと笑おうって思ってた
だけどやっぱり怖くて
嫌われたらどうしようって
気持ち悪いって言われたらって」


涙で前が見えない


「だから余計冷たくなって

そしたら急に空が……っ」


のどの奥が痛い
涙を堪えている目が痛い

だけど堪えようと思えば思うほど
涙は溢れてきた


「ごめんなさ…っ」


もう嫌われた
うざいって思われてる
もういいや…


笑いたかったな…


「今日はもう帰る」


自分の精一杯で言った


「来い」


腕を無理やり引っ張って
遊園地から少し外れた場所に
どんどん行く


「空?」

何回呼んでも離してくれない


「見ろ」



気づいたら夕方だった
朝早くに待ち合わせをして
まだ、乗ってないアトラクションも
あったのに…



空は赤をふくんだ橙色をしていました


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