空は青色、君は君色


「山口ー!!」


「あー・・・―。」


よっこらしょと立ち上がる。

誰かが、おっさんと言った気もするけど、

気にしない。


「何。」


派手な女が

目をぱちぱちさせながら立っている。


「何じゃないよ。
 彼女が来たんだからもっと喜んでよう。」


一晩相手しただけで、彼女面か。


「ねえ、サボらない?つーかーれーたー。」


こいつは学校をなんだと思ってるんだろう。



「ごめん、今日は良い。」


「ええ!?意味分かんない。
 学校なんてどうでもいいじゃん!!
 今日、うち来てよ。」


ね?とか言いながら首を傾げる。


「うざい。付き合ってないよ、俺たち。」


「え?・・・どゆ、こと。」


「そうゆうこと。」


その場に泣き崩れる女。

なんで、泣くんだ。

そうゆうことがしたかっただけのくせに。

築が俺の肩を叩く。


「毎度のことだから驚きはしないけど、
 言葉を選べよ。
 振るなら、振り方があるでしょ?」



半分呆れたように、ため息をついて

女の背中をさする。

女は泣くのをやめようとはしなかった。


「ほら!!一応謝っとけよ山口。」


「・・・・ごめん。」


築はよしっと言って、俺の頭を撫でると

女を教室まで送りに行った。



築の家は、店をやってるから

"ありがとう"と"ごめんなさい"を、

どこの家より大切にしている。


気分が悪くなって、

授業をサボって屋上に行く。

誰もいない

殺風景なコンクリートが続いている。

あいつは、いつもここで、

どんな景色を見てるんだろう。



見上げた上には、

雲に覆われた、灰色の空が続いていた。




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