あめだま (完)
すると、彼はバックから、ソーダ味の
あめをとり出した。
「ほら、この前のお礼。」
「でも、むし歯・・・。」
「なに言ってんだ!ちゃんと歯磨き
すれば大丈夫だ!」
「うんありがと!」
久しぶりに食べたあめは、甘くて
おいしかった。
でも、味がどんどん変わって、
しゃっぱい味になる。
気づくと涙がいっぱい落ちてきた。
私はこんなにしょっぱいあめを
食べた事がなかった。
いつも甘いあめを食べて、喜んで
いられた私を今は、子供だと
思った。
中学2年生になって、あめのしょっぱさ
を覚えた。
「なんで泣くんだよ!」
「いや、久しぶりに食べたあめが
おいしくて!」
「そんなんで泣ける人初めて見たぞ、俺!
人間って、あめ食って泣けるんだな!」